UnrealEngine5.7でFab素材を利用する方法
私はBlenderとUnreal Engineを使って、3DCGのショートアニメーションを個人で作っています。
映像制作を始めると、最初にぶつかる壁のひとつが「素材をどこで手に入れるか」です。背景・キャラクター・エフェクト、全部自分でモデリングするのが理想ではあるけれど、それをやっていると肝心の映像が完成しない。個人制作あるあるだと思います。(時間は限られていますかね。特に私のような趣味で制作している人は仕事の前後か休日しか使えませんから)
そこで現在、本当にお世話になっているメインの調達先が Fab(fab.com)です。この記事は、UE5でFabを使ってアセットを取り込むまでの手順を自分なりに整理した備忘録です。学びながら書いているので、気づいたことや自分がつまずいたポイントも合わせて書き残しておきます。
基礎編
前提条件:使用するUnreal Engineのバージョン
今回使用するのは Unreal Engine 5.7 です。
FabはUE5.4からエディターにネイティブ統合されています。つまり UE5.4以降であれば、ブラウザとエディター内の両方からシームレスにアセットを追加できます。5.7を使っている場合ももちろん対応しています。
事前に準備しておくもの:
- Epic Gamesアカウント(無料)
- Epic Games Launcherのインストール
- Unreal Engine 5.7のインストール
ここは今回は省略させてもらいますね。
Fabとは?
Fab(fab.com)は2024年にEpic Gamesがリリースした統合アセットマーケットプレイスです。
正直なところ、最初は「UE Marketplaceの名前が変わっただけかな」と思っていたのですが、中身が全然違いました。以下の3つのストアが1か所に統合されています。
| 旧ストア | 主なコンテンツ |
|---|---|
| UE Marketplace | UE5向けのBlueprintや環境・キャラクター素材 |
| Quixel Megascans | フォトスキャンによるリアルな自然・建築素材 |
| Sketchfab Store | 独立クリエイターの3Dモデル・アニメーション |
映像制作をしている立場で特にありがたいのが Quixel Megascans の統合です。フォトスキャン素材は自分では絶対に作れないクオリティのものが揃っているので、これが無料・低コストで使えるのは個人制作者にとって本当に助かります。
カテゴリーとフィルターの使い方
Fabには膨大な数のアセットが登録されています。何も絞り込まずに探すと途方に暮れるので、フィルターを使いこなすのが最初のポイントです。
主なカテゴリーは以下のとおりです。
| カテゴリー | 主な用途 |
|---|---|
| Characters | 人物・モンスター・動物などのキャラクターモデル |
| Environments | 屋外・屋内の背景、建物、自然環境など |
| Animations | モーションデータ(歩き・戦闘・ジャンプなど) |
| VFX / Particles | Niagaraエフェクト・炎・煙・魔法演出など |
| Blueprints / Game Systems | ゲームロジックやシステム実装のブループリント |
個人的によく使うフィルターの組み合わせは、「Free × Unreal Engine × 目的のカテゴリー」 の3つ同時がけです。これだけで、無料かつUE5でそのまま使えるアセットに一気に絞れます。
アセットのフォーマットを理解する
Fabでは1つのアセットに複数のフォーマットが提供されている場合があります。UE5を使っている場合は、基本的にフォーマット選びは迷わなくてOKです。
| フォーマット | 特徴 | UE5での使用 |
|---|---|---|
| Unreal Engine形式 | UE5に最適化されたネイティブ形式。マテリアル・テクスチャ・Blueprintがそのまま使える | ◎ 最優先 |
| UEFN形式 | Fortnite Creative向け。映像制作には基本不要 | △ 不要な場合がほとんど |
| Unity形式 | Unity向け。UE5では使用不可 | × 使用不可 |
| FBX形式 | 汎用3D形式。BlenderやMayaでも使用可能 | ○ 手動インポートで使用可 |
映像制作なら「Unreal Engine形式」を最優先で選んでください。
FBXはBlenderとのデータのやり取りには便利ですが、UE5に持ち込む際にスケール調整やマテリアルの再設定が必要になります。UE5ネイティブ形式があるなら手間を省くためにそちら一択です。
無料アセットをFabライブラリに追加する
今回のショートアニメーション制作で使うアセットとして、以下の3つをライブラリに追加します。
- Aアセット(仮名称):シーンの背景となる環境アセット
- Bアセット(仮名称):キャラクターアセット
- Cアセット(仮名称):Megascansの素材
一点だけ最初に補足しておくと、「ライブラリに追加」という操作は所有登録であって、この段階ではまだPCへのダウンロードは行われません。自分も最初ここを勘違いしていたので書いておきます。
手順はシンプルです。
- fab.com をブラウザで開き、Epicアカウントでログイン
- フィルターで「Free」「Unreal Engine」を選択して絞り込む
- 目的のアセットのページを開く
- 「Add to My Library」ボタンをクリック
- 確認ダイアログが表示されたら「Add」で完了
A・B・Cアセット、それぞれに対してこの操作を繰り返します。
ライブラリを確認する(更新ボタンを忘れずに)
fab.comでの追加が完了したら、Epic Games Launcherを開いてライブラリに反映されているか確認します。
- Epic Games Launcherを起動
- 左メニューの「Fab」または「ライブラリ」タブを選択
- 「更新」ボタンを押す
- 追加した3つのアセットが表示されることを確認
この「更新」ボタンを押さないと、さっき追加したばかりのアセットが一覧に出てこないことがあります。反映されない場合はまずここを確認してみてください。
プロジェクトへのアセット追加
ライブラリへの登録が確認できたら、実際のUE5プロジェクトへインストールします。
事前にUE5プロジェクトを作成しておきましょう。映像制作目的なら「Film / Video & Live Events」テンプレートが最適です。「ブランク」でプロジェクトを作成しましょう。
- 次に、Epic Games Launcherの「Fab」タブでインストールしたいアセットを見つける
- 「プロジェクトに追加」ボタンをクリック
- インストール先のプロジェクトを選択
- インストールが完了するまで待機(大容量アセットは数分かかることがあります)
互換性のあるUE5バージョンかどうかは、アセット詳細ページで確認できます。自分が使っているバージョンに対応しているかを事前にチェックしておくと安心です。
コンテンツブラウザーで確認する
インストール後にUE5エディターを開くと、Content Browser内に新しいフォルダが追加されています。
場所は通常「Content > [アセット名]」です。中に Blueprints・Meshes・Materials・Textures などのフォルダが入っています。
大量に読み込まれるので最初はどれが何か分からないと思いますが大丈夫です。徐々にわかってきます。焦らず学習を一緒に進めていきましょう!
レベルに配置してみよう
環境アセットを配置する
- Content BrowserでStaticMeshアセット(
.uasset)を選択 - ビューポートへドラッグ&ドロップ
- Detailsパネルでロケーション・スケールを調整
Quixel Megascansのアセットを使う場合は、配置後にNaniteを有効化(Detailsパネルの「Enable Nanite」)しておくのがおすすめです。ポリゴン数を気にせず高品質なままレンダリングに使えます。
キャラクターアセットを配置する
- Content BrowserでBlueprintアセット(
BP_プレフィックスのもの)を探す - ビューポートへドラッグ&ドロップ
アニメーションを適用するにはAnimation Blueprintの設定が別途必要です。この部分は別の記事でまとめる予定です。
アドバンス編
定期的な無料コンテンツ:Free for the Month
Fabでは毎月、有料アセットが期間限定で無料公開される Free for the Month という仕組みがあります。
これの重要なポイントは、無料期間中にライブラリへ追加しておけば期間終了後も永続的に使用できるという点です。ダウンロード自体は後日でも問題ありません。つまり「とりあえずライブラリに追加しておく」だけでOKです。
月に1回、fab.comのトップページを確認してライブラリに追加する習慣をつけておくだけで、使えるアセットがじわじわ積み上がっていきます。個人制作者にとってはかなりお得な仕組みです。
確認方法:fab.comのトップページのバナー、またはフィルター「Free」+「Sort: Newest」で最新の無料アセットを確認できます。
ライセンスについて
Fabのアセットを映像作品や商業プロジェクトに使う前に、ライセンスの確認が必要です。
多くのアセットには Fab Standard License が適用されており、映像制作目的での利用は概ね問題ありません。
| 用途 | 可否 |
|---|---|
| YouTube・Vimeoへの映像公開 | ✅ 可 |
| 個人・商業映像作品への使用 | ✅ 可 |
| クレジット表記 | 不要(推奨) |
| アセット素材単体の再販・再配布 | ❌ 不可 |
| 別マーケットプレイスでの転売 | ❌ 不可 |
要するに、自分の映像作品に使う分には基本的に問題ないです。ただしアセットを改変して別の素材として再販する行為は禁止されています。
一部のアセットはCustom Licenseが設定されているため、購入・ダウンロード前にアセット詳細ページの「License」セクションを必ず確認してください。
プロジェクト内からプラグインを使って追加する
UE5.4以降は、エディターを開いたままFabのアセットを追加できます。Launcherを別途操作しなくてよいので、作業フローが中断されません。慣れてきたらこの方法がメインになると思います。
エディター内Fabブラウザーの開き方:
- メニュー「Create」→「Fab Content Browser」
- または「Window」→「Fab」
手順:
- エディター内FabブラウザーでアセットをSearch
- アセット詳細ページの「Add to Project」をクリック
- エディターを再起動せずにContent Browserへ即時反映
Fabブラウザーはウィンドウとしてドッキングしておくと、Content Browserの隣に常時表示できて便利です。「UE5 Compatible」フィルターをONにして、互換性のある素材だけ表示するようにしておくのもおすすめです。
まとめ
| ステップ | ポイント |
|---|---|
| ライブラリへの追加 | fab.comで「Free + Unreal Engine」フィルターを活用 |
| プロジェクトへのインストール | LauncherまたはエディターのFabブラウザーから |
| 毎月の無料チェック | Free for the Monthは見逃さずライブラリへ追加 |
| ライセンス確認 | 映像公開ならStandard Licenseでほぼ問題なし。素材の再販は不可 |
Fabを使いこなせると、モデリングやテクスチャ制作に時間を取られずにシーンが組み立てられるようになります。個人制作の最大の壁は「時間」なので、使えるものはとことん使うというスタンスが自分には合っています。
アセットを配置した後のアニメーション適用(IK Retargeterの設定)については、別の記事にまとめる予定です。

